ベーリンガーインゲルハイム、第46回(2009年度)ベルツ賞受賞論文を発表
募集テーマ「精神疾患-うつ病、統合失調症など」
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は本日、第46回(2009年度)ベルツ賞受賞論文を発表するとともに、贈呈式を執り行いました。
「ベルツ賞」は、歴史的に日本とドイツの間にある医学領域での交流関係を回顧し、またその交流関係を更に深めていく目的で、ベーリンガーインゲルハイムが設立した伝統のある医学賞です。毎年、時宜に応じたテーマで論文を募り、優れた論文に対し授与しますが、第46回(2009年度)の募集テーマは「精神疾患 -うつ病、統合失調症など」でした。
本年度は、寄せられた16編の応募論文の中から、1等賞に「精神疾患の病態解明と客観的治療評価に向けたPETイメージング研究」(放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センター 分子神経イメージンググループ 教授 須原 哲也博士グループ)が選ばれました。2等賞には「自閉症ヒト型モデルマウスの開発」(広島大学大学院医歯薬学総合研究科 統合バイオ研究室 教授 内匠 透博士)が選定されました。
贈呈式は本日、ドイツ大使公邸で執り行われました。ベーリンガーインゲルハイム取締役会会長アンドレアス・バーナー博士より、1等賞受賞者には800万円、2等賞受賞者には400万円の賞金、さらに賞状とメダルがそれぞれ贈呈されました。
バーナー博士は贈呈式に臨んで、「精神疾患の病因・病態はまだまだ未解明の部分がありますが、研究者の方々の不断の努力により、精神疾患における脳画像解析研究や、動物モデルを用いた精神疾患の研究開発が前進してきています。今年度のベルツ賞受賞論文は、この未解明部分である精神疾患の生物学的および臨床的問題を明らかにする可能性を強く示唆するものです」と見解を述べました。またベルツ賞を46回にわたり継続してきたことについて、「日本の臨床医や研究者が常に、受賞に値する優秀な学術論文を提供してきたこと、各分野の専門家が真剣に選定に取り組んできたからこそ、伝統ある賞として認められるようになりました。研究者の方々に敬意を表するとともに、選考委員会メンバーの皆様、長きにわたりベルツ賞をご支援いただいているドイツ大使に、ベーリンガーインゲルハイムを代表して心から御礼申し上げます」との謝意を述べました。
1964年に設立されたベルツ賞は、日本の近代医学の発展に大きな功績を残したドイツ人医師ベルツ博士の名を冠し、正式には「エルウィン・フォン・ベルツ賞」と称します。ベルツ賞は例年、常任委員会の定めるテーマに基づいて応募された研究論文の中から、特に優秀な研究論文に対して贈呈されます。本年を含む46年間の歴史の中、累計で105編の論文が受賞し、受賞された先生方の人数は延べ339人にのぼります。
ベルツ博士はドイツ チュービンゲン大学で医学を学び、ライプチヒ大学講師を経て1876年に来日、現在の東京大学医学部の前身となる東京医学校で教鞭をとり、数多くの優れた日本人医学者を育てました。また皇室の侍医であったことも広く知られています。公衆衛生の方面でも、日本の防疫事業の基礎を築くなど、明治から始まる黎明期に日本が西洋医学を導入する上で、指導者として大いに貢献したひとりです。
第46回(2009年度) ベルツ賞受賞論文
募集テーマ: 精神疾患-うつ病、統合失調症など
1等賞 (賞金800万円)
「精神疾患の病態解明と客観的治療評価に向けたPETイメージング研究」
1)放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センター 分子神経イメージググループ
2)日本医科大学精神医学教室
3)慶応義塾大学精神神経科
グループリーダー 須原哲也(すはら てつや)1)先生
主任教授 大久保善朗(おおくぼ よしろう)2)先生
研究員 安野史彦(やすの ふみひこ)1) 先生
研究員 高野晶寛(たかの あきひろ)1) 先生
主任研究員 高橋英彦(たかはし ひでひこ)1) 先生
研究員 荒川亮介(あらかわ りょうすけ)1),2) 先生
研究員 一宮哲哉(いちみや てつや)1),2) 先生
チームリーダー 伊藤浩(いとう ひろし)1) 先生
准教授 加藤元一郎(かとう もといちろう)3) 先生
チームリーダー 樋口真人(ひぐち まこと)1) 先生
<論文の要約>
言語や行動によってのみ診断される精神疾患の臨床研究に、ポジトロンCT(PET)という非侵襲的に人間の脳内分子を画像化する技術を応用することにより、これまで生体ではアプローチできなかった精神疾患の脳内分子を測定し、大脳皮質や視床といった脳内領域において統合失調症でドーパミン神経伝達の異常を見いだすと共に、うつ病におけるセロトニン神経伝達の異常を明らかにしてきました。また精神科薬物療法の分野では占有率という指標を用いて、ドーパミンD2受容体を標的とする抗精神病薬の一部に臨床用量がきわめて過大に設定されているものがあることを明らかにするなど、精神科領域における薬の評価方法の革新に貢献しました。
2等賞 (賞金400万円)
「自閉症ヒト型モデルマウスの開発」
広島大学大学院医歯薬学総合研究科 統合バイオ研究室
教授 内匠透(たくみ とおる) 先生
<論文の要約>
技術的にも非常に難しい染色体工学の手法を用いて、自閉症の細胞遺伝学的異常としてもっとも頻度の高い、ヒト染色体15q11-13重複のモデルマウスの作製に成功しました。
本マウスは、ヒトの自閉症様の行動を示すだけなく、ヒトの病気(自閉症)と同じ原因を有する世界初のヒト型モデルマウスです。また、本マウスは、現在注目されている、ゲノム上の「コピー数多型」による世界初の疾患モデル動物です。今後、本マウスを用いて、自閉症をはじめとする発達障害の病態解明及びその治療薬の開発が期待されます。
2009年度 専門委員
岡崎 祐士 先生
東京都立松沢病院 院長
笠原 嘉 先生
名古屋大学 名誉教授、桜クリニック 院長
神庭 重信 先生
九州大学大学院 医学研究院 精神病態医学分野 教授
定藤 規弘 先生
自然科学研究機構 生理学研究所 大脳皮質機能研究系 教授
中西 重忠 先生
京都大学 名誉教授、大阪バイオサイエンス研究所 所長
常任委員
井村 裕夫 先生
京都大学 名誉教授、先端医療振興財団 理事長
髙久 史麿 先生
自治医科大学 学長、日本医学会 会長
豊島 久真男先生
理化学研究所 研究顧問、住友病院 特別顧問
早石 修 先生
京都大学 名誉教授、大阪バイオサイエンス研究所 理事長
トーマス・ハイル
M.D. 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
代表取締役 会長 兼 社長
お問い合わせ
| 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 〒141-6017 東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower | |
| 詳細なお問い合わせ先はこちら |


